『The Waking Hour』は、元ジャパンのベーシスト、ミック・カーン(Mick Karn)と、元バウハウスのボーカリスト、ピーター・マーフィー(Peter Murphy)による、プロジェクトバンド「ダリズ・カー」(Dali’s Car)の1stアルバム。1984年にリリース。
結成当時は話題になったものの、音の構成はほぼミック・カーンによるものと思われる。ミックの独壇場で彼のやりたい放題。楽器の演奏が出来なく、作曲は不得意のピーターは作詞のみのようだ。結成当時、二人の精神状態はある意味、とても似た状態にあり、過去、自分達が居たグループのイメージから逃れたい、過去のファンやメディアのイメージと、逆の事をやりたい、そんな”ジレンマ”や”怒り”が、二人を結びつた。
サウンドは、後期JAPANに近い感じであり、ミックのアイデアが沢山詰まっているが、JAPAN時代は、それを構成する能力をDavid Sylvianに頼っていたようで、それをPeter Murphyに期待していたら歌う事にしか興味が無く、巧く化学反応しなかったようで、すぐに自然消滅へと至る。
一発で打ちのめされるようなインパクトの強烈さは無いが、独特の世界観を形成しており、不思議な緊張感に包まれている。
アルバム・カバーは、20世紀前半に活躍したアメリカ人の画家・イラストレーターであるマックスフィールド・パリッシュ(Maxfield Parrish)によるもの。独特の飽和色相と理想化された新古典主義のイメージが特徴の画家である。