『スティッキー・フィンガーズ』 (Sticky Fingers) は、1971年に発表されたローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)のオリジナルアルバム。バンドとって20枚目のアルバム。全英、全米共に1位を記録。プロデューサーはジミー・ミラー。レコーディングエンジニアはグリン・ジョンズ、アンディ・ジョンズ、クリス・キムジー、ジミー・ジョンストン。
本作は彼らが設立したローリング・ストーンズ・レコードからリリースされた初のスタジオ・アルバムである。『ベガーズ・バンケット』から見られるようになったサザン・ロック・サウンドをより深化させた内容となっている。本作に収録されている楽曲は全て後にライヴで一度以上取り上げられている。同様のオリジナルアルバムは本作の他は『ブラック・アンド・ブルー』(1976年)と『女たち』(1978年)のみ。『ベガーズ・バンケット』『レット・イット・ブリード』『メインストリートのならず者』と並び、最高傑作の呼び声も高い。アメリカ南部音楽へのアプローチが本格化、全編を泥臭くのびのびとしたムードが漂う。
ジャケットデザインは、アンディ・ウォーホルが手がけている。表側はジーンズを穿いた男性の股間のクローズアップで、裏側では尻を向けている。表側には本物のジッパーが取り付けられており、実際に開くことが出来る。なお、このジッパーは英・米盤では無印だが、日本盤ではYKK製であることが確認できる。
世界的な大ヒット作となったが、セールスのみならず作品としての評価も高く、2002年には「ローリング・ストーン」誌のグレーティスト・アルバム500で64位に、翌年のTVネットワークのVH1が本作を最も偉大なアルバム・ジャケットに選出し、グレーティスト・アルバムで46位となった。ジャガーは「このアルバムを誇りに思う」と語り、キース・リチャーズも1987年のインタビューで「やっぱり『ベガーズ…』と『レット・イット・ブリード』と『スティッキー…』、それと『メイン・ストリート…』の4枚がいいね」と答えている。