『エアリアル』(Aerial)は、イギリスのシンガーソングライター、ケイト・ブッシュ(Kate Bush)が2005年に発表した8作目のスタジオ・アルバム。『レッド・シューズ』(1993年)以来12年振りに発表された新作。
1998年、ケイト・ブッシュは長男アルバート(バーティ)を授かったが、ブッシュ自身はこのニュースを公にせず、友人のピーター・ガブリエルがテレビのインタビューで口を滑らせてしまうまで秘密となっていた。ブッシュはそのことに関して「彼のプライバシーを守ると同時に、できる限り普通の幼年期を過ごさせてあげたかった」と語っている。そして本作には、ブッシュが息子を讃えた曲「バーティ」が収録された。
本作は2枚組アルバムとして発売され、ディスク1は「ア・シー・オブ・ハニー」、ディスク2は「ア・スカイ・オブ・ハニー」と題されたコンセプト・アルバムになっている。
本作からの先行シングル「キング・オブ・ザ・マウンテン」は全英シングルチャートで4位に達した。そして、本作は全英アルバムチャートで3位に達し、自身9作目の全英トップ10アルバムとなった。また、ドイツのアルバム・チャートでも3位に達し、同国では『愛のかたち』(1985年)以来となるトップ5入りを果たした。オランダのアルバム・チャートでは初登場7位となり、『愛のかたち』以来20年振りにトップ10入りして、合計33週にわたりトップ100圏内に入った。
非常にまとまりのあるレコーディングで、ケイト・ブッシュがデビュー以来培ってきた唯一無比の世界を反映している。1日を鳥の飛行に変える暗喩を使い、人生のサイクルへの瞑想をまとめている。音楽的にも幅を広げ、鳥の歌、微妙なオーケストラ、ジャズ・トリオから曲を紡ぎ、最大限に実験を試みている。比較的最近、母になったこと、そして自分の母の死を包括した『Aerial』は深く個人的なアルバムで、ポップ・ミュージックの真のアイコン、そして驚異の声の持ち主の佳作である。