オーストラリア出身のシンガーソングライターで作家、脚本家、画家、俳優である、ニック・ケイヴ(Nick Cave)率いる、オルタナティブ・ロックバンド、ニック・ケイヴ・アンド・ザ・バッド・シーズ(Nick Cave & The Bad Seeds)の15枚目のスタジオ・アルバム、『Push The Sky Away』。2013年のリリース。前作『Dig, Lazarus, Dig!!!』から約5年振りとなる作品である。
現在は、ニック・ケイヴを中心に、ダーティー・スリーのウォーレン・エリス、トリフィッズのマーティン・ケーシー、トーマス・ワイドラー、ジム・スクラヴノス、コンウェイ・サベージの6人で活動をしているが、今作は初期のバッド・シーズのベーシストであるバリー・アダムソンも2曲参加。
南フランスのサンレミドプロヴァンスにある19世紀の大邸宅を拠点とするレコーディング・スタジオ、ラファブリクで録音された。無駄な音を削りに削った緊張感漲るバンド・サウンド、渋さと色気を増したニック・ケイヴの歌声、物悲しいメロディー、暗く美しいトーン。
「スタジオに入っ た時 には、まだ形になっていない蛹みたいな幾つかののアイデアを抱えていた。それをザ・バッド・ザ・シーズがびっくりするような素晴らしい作品に変身させた。彼らの仕事ぶりを見たことがある奴に訊いてみれば分かるんだけど、彼らはこの世界中のどのバンドとも違う、純粋で本能的な創造性を持っているんだ」とニック・ケイヴは語っている。
アルバムジャケットは、ニック・ケイヴと裸の妻スージー・ビック(Susie Bick)。フランスの写真家、Dominique Issermannが、夫婦の寝室で撮影したもの。ビックがファッション雑誌のモデルとして写真撮影している現場にケイヴも立ち会っており、部屋により多くの光を取り入れるためにシャッターを開けた、その瞬間を衝撃的に撮影された。その写真の出来栄えにケイヴも妻も満足し、アルバムカバーとして採用された。