『マインド・ボム』(Mind Bomb)は、イングランドのロック・バンド、「ザ・ザ」(The The)が1989年に発表した3作目(当初マット・ジョンソン名義で発売された『バーニング・ブルー・ソウル』を含めれば4作目)のスタジオ・アルバム。
ザ・ザは基本的にマット・ジョンソンのソロ・プロジェクトだったが、本作ではジョニー・マー(元ザ・スミス)、ジェームズ・エラー、デヴィッド・パーマー(元ABC)を正式メンバーに迎えたバンド形態で制作された。なお、ジョンソンはマーがザ・スミスを結成した頃からの知り合いで、しばらく連絡が途絶えていたが、既に本作の制作に着手していた頃、イギー・ポップのライヴ会場でマーと再会を果たし、そのままバンド加入を持ちかけたという。
「アルマゲドン・デイズ」はイスラム教とキリスト教の対立による最終戦争を描いた曲で、本作からの先行シングル候補だったが、当時はサルマン・ラシュディの小説『悪魔の詩』がムスリム社会で物議を醸しており、シングル・リリース予定日の前週にイランの最高指導者ルーホッラー・ホメイニーがラシュディの死刑を宣告する事態となったため、レーベルの判断で急遽「ビートゥン・ジェネレーション」が先行シングルに変更された。なお、「アルマゲドン・デイズ」は最終的に本作からの第3弾シングルとなった。
前作「Infected」で顕著だったダークかつ洗練されたダンスポップスタイルは息を潜め、代わりにスローながらも揺れ幅の大きい、ラフさ加減がそのまま残された音を紡ぎだしている。シリアスかつ硬質なロックが聴けるアルバムに仕上がっており、マット・ジョンソンとジョニー・マーと言う強烈な個性の融合も成功している。