『KICK』は、オーストラリアのロック・バンド「INXS」の6枚目のスタジオ・アルバム。そして、最大のヒット作。リリースは1987年。
本作からは全米No.1ヒットとなった「Need You Tonight」のほか、「Devil Inside」(全米2位)、「New Sensation」(全米3位)、「Never Tear Us Apart」(全米7位)といった楽曲がシングルカットされ、アルバム自体も全米3位まで上昇し、600万枚以上のセールスを記録。
本作は、その大ヒットも頷ける名盤と言える。無駄のないファンキーでロックなアレンジと抜群のメロディー、そして冴え渡るマイケル・ハッチェンスのヴォーカル。オープニングからラストまでの流れも完璧で、1曲目から2曲目への流れもセンセーションだ。
オーストラリアで結成され、1983年の3rdアルバムから世界進出に向けて動き出したINXSは、80年代を代表する売れっ子プロデューサーであるシックのナイル・ロジャースが手掛けた1984年の4thアルバムとシングル「Original Sin」のスマッシュ・ヒットでオーストラリア以外でも人気を獲得。そして続く5thアルバムからのシングル「What You Need」が全米TOP10入りを果たす大ヒットとなり、いよいよ世界的にブレイク。そしてそれに続いてリリースされたのが、この『KICK』。
シンプルなギターのリフとマイケル・ハッチェンスのパワフルで色気に満ちたヴォーカルを中心にしたサウンドは、アルバムごとによりシンプルに洗練される一方で、よりファンキーさと骨太さを増していったが、その両者が絶妙なバランスで釣り合った最高の瞬間を奇跡的に捕らえたのが今作と言える。