Scritti Politti – Cupid & Psyche 85

Scritti Politti - Cupid & Psyche 85

キューピッド&サイケ85』(Cupid & Psyche 85)は、イギリスのロック・バンド、「スクリッティ・ポリッティ」(Scritti Politti)が1985年に発表した2作目のスタジオ・アルバム。
バンドの中心人物グリーン・ガートサイドは、前作『ソングス・トゥ・リメンバー』制作時に知り合ったデヴィッド・ガムソンを新メンバーとして迎え、更にガムソンの紹介により、マテリアルのドラマーとして知られるフレッド・マーも加入した。1983年にはこの体制で、ナイル・ロジャースのプロデュースによるレコーディングを行うが、当時の所属レーベルのラフ・トレード・レコードと制作費の問題で対立し、ロジャースとの録音は未発表となる。そして、バンドはラフ・トレードと決別し、アトランティック・レコードを含む様々なレーベルと接触した末、ヴァージン・レコードとの契約を得て、1983年には、ガートサイドのデモ・テープに感銘を受けたプロデューサーのアリフ・マーディンが、ガートサイドをアメリカに招いた。なお、ガートサイドは以前よりマーディンの音作り(特にチャカ・カーンの作品)を高く評価していた。
ガートサイドは本作の方向性に関して、ヒップホップを筆頭としたブラック・ミュージックのファンダムの表現が大きな部分を占めていると説明している。

Stephen Thomas Erlewineはオールミュージックにおいて5点満点中4.5点を付け「きっちり構築された、キャッチーなシンセポップ作品」と評している。また、ロバート・クリストガウは1985年8月27日付の『ヴィレッジ・ヴォイス』紙において、本作にAマイナスを付け「彼(グリーン)は、自分の力で十分やっていけるだけの遊び心と言葉巧みさを持ち合わせているが、クライマックスの演出という分野は不得手である」と評している。
『NME』誌の2015年の企画「現在でも偉大に響く1985年のアルバム50」には、本作も含まれている。また、ピッチフォーク・メディアのスタッフが2018年に選出した「1980年代のベスト・アルバム200」では171位となった。
本作は、今なお、ハイパー・インテリジェントなポスト・ニューウェイブのポップ・ファンクのクラシックとして評価が高い。
スタイルはエレクトロ・ポップで、中身はブルーアイドソウルだが、ところどころにヒップホップ的なアプローチもみえる。
そこが斬新であり、フェアライトなど当時先端をいっていたエレクトロニクスも使われており、エッジの効いた音響や、グリーンの中性的な歌声は際立っている。
楽曲が充実しており、シングルカットされた曲もヒットした。特に「Perfect way」は全米6位、後にマイルズ・ディビズカヴァーしている。

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