イギリスのロックバンド、Japanの元ドラマー、スティーヴ・ジャンセン(Steve Jansen)が、彼のソロアルバム「Slope(2007年)」や「Tender Extinction(2016年)」に参加していたThomas Feiner、そしてFeinerとは長い付き合いのUlf Jansson、更にCharles Stormという3人のスウェーデン出身ミュージシャンと結成した「Exit North」の『Book Of Romance And Dust』。2018年にリリースされた。
どこか、Jansenの兄であるデヴィッド・シルヴィアン(David Sylvian)の音楽性に通じるもがある。Feinerの低音ヴォイスもシルヴィアンの歌唱スタイルを彷彿させる。キーボード中心の音作りや、時折り聴こえるトランペットの響きなどがシルヴィアンの世界観を感じさせる。静かで深くて美しいサウンド。
サウンドの手触りは冷たく、透徹したムードが全体を貫いているが、弦楽五重奏や女性コーラス、そしてスウェーデンのジャズベーシスト・Lars Danielssonなど多くのゲストがこのアルバムに招かれ、豊かなサウンド作りに貢献している。
FeinerとJanssonがアートワークを担当したジャケットも、Sylvian、Jansen、そしてBurnt FriedmanによるNine Horses「Snow Borne Sorrow(2005年)」のイメージが漂っており、セッション的だったNine Horsesをタイトなバンドとして活動展開させたい、というJansenの思いが込められているのかも知れない。