『Shades Of Blue』は、 Blue Noteからリリースされた、アメリカのヒップホップミュージシャン、MadlibによるBLUE NOTE音源のリミックスアルバム。2003年のリリース。
DJ、プロデューサー、リミキサー、トラックメイカー等など、ヒップホップ界において八面六臂の活躍をする、Madlib。過去にもこの手のコンピレーションやリミックス・アルバムはあったが、本作は“Madlib”という個人をフィーチャーしていることが特徴。また、本作にラップはほとんど入っていない。インストゥルメンタル・ヒップホップと呼ばれるジャンル。
Madlibは、ジャズにこだわらず音源をつなげたミックステープ(the medicine showなど)を多くリリースしている。とは言え、やはりジャズは彼にとって特別の思い入れがあるようで、超有名な大ネタから「どこから拾ってきたんだ?」というようなレアネタまで、BLUE NOTEファンならニヤリとしてしまうサンプリング・セレクトである(曲名まで洒落ている)。
スクラッチが生み出すざらついた感触と、ベースの強調されまくったヴァイナルのくすんだ音色がからみ合って生み出すグルーブはとても心地よく、クセになる。
The Rootsほかの作品で聴ける、これぞヒップホップ! というべき骨太なビートがある。
しかも、元曲に対するリスペクトも大いに感じられる。元曲のテイストを残しつつ、Madlibふうに料理した「カヴァー」に近い演奏が聴ける。
定番/スタンダード/サンプリングソース・・というスタンスで選ばれた華やかな元ネタを、時にドス黒くアレンジした心地よいジャジ−・ブレイクス。このアシッドな雰囲気はいわゆる”ドジャズ”では再現できないし、その後のROBERT GLASPERなどにも通じる新たなスタンダードとなった作品と言える。