A Certain Ratio – Sextet

A Certain Ratio - Sextet

Sextet』は、イギリスのポスト・パンク、インダストリアル・ファンクバンドである、「ア・サートゥン・レイシオ」(A Certain Ratio)の3枚目のスタジオ・アルバム。1982年にリリース。
ラテンやサンバ、そしてジャズなどに傾倒していた A Certain Ratio の気怠く蒸し蒸しとしたファンクネスがうねる名作。
78年、マンチェスターにて結成。ほどなくして Factory Records と契約し、数枚のシングルやカセットをリリース。ジョイ・ディヴィジョンやニュー・オーダー、ドゥルッティ・コラム、トーキング・ヘッズなどとのライヴにより着実に人気を集め、81年にはデビュー・アルバム「To Each」をリリース。ファンクの影響を取り入れたポスト・パンクに、マーティン・ハネットによる初期 Factory を象徴するようなサウンド・メイクが施され、強烈な個性を見せている。
この『Sextet』では、女性ヴォーカリストMartha Tilson(マーサ・ティルソン)が加入。普通ならポップさを増しそうだが、より宗教的というか、呪術性が加わった。ベースがスラップを多用してリズムを強調しているのに、マーサ・ティルソンのヴォーカルにはメロディーやリズムもなく、リズム隊とのミスマッチがとにかく個性的であり、A Certain Ratioたるゆえんと言える。唯一無二のグルーヴと言ってもいいだろう。
ホーンセクションやピアノの外し具合も、ジャズやブラックミュージックだけを聞いてきたアーティストには出せないオリジナリティがある。
パンクのアーティストが下手な演奏でロックの常識を破壊したように、この作品のは、技術偏重になっていたジャズファンクに対する強烈なアンチテーゼを提示している。
この作品がファンクであることさえ、ほとんどのファンには認識されていないが、ブルース・リーの名言“Don’t Think. Feel.(考えるな、感じろ!)”的な隠れた名作。

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